イラン戦争の開始から3週間。ようやくピントが合ってきて「私たちは今まさに近代の終焉に立ち会っているのだ」という結論に達した。書こう。
主導したのはイスラエル
アリー・ハメネイ師が殺害されたときは「なんて無意味なことをするんだ、アメリカ!」と思った。しかし、イスラエルが主導したと考えれば、今このタイミングでなければならなかった理由がわかる。
イスラエルがこの戦争を急いだのは、もうアメリカの覇権がいつ崩れてもおかしくないフェーズに入っているからだ。
イスラエルはアメリカの資金力と軍事力があって初めて西アジアに存在できている。西アジアからアメリカがいなくなれば、イランおよびアラブ諸国はすぐにでもパレスチナの大義を掲げてイスラエルの排除にかかる・・のかどうか知らないが、少なくともイスラエルはそう考えている。
イスラエルから見れば、天敵であるイランに致命傷を与え、イランとアラブ諸国の間に楔を打ち込むチャンスは「今しかない」ということになるだろう。
他方、アメリカ(例えばトランプ大統領)の方は、一応、石油や天然ガスといったエネルギーを支配することで、強引に覇権を維持する戦略の一部としてこの戦争を位置付けているものと思われる。
戦況はどうなっているのかよくわからないが(誰のいうことを信じていいのかまったくわからないので)、イスラエルはイランおよび同じく反イスラエルを掲げる勢力である(レバノンの)ヒズボラ支配地域やシリアの一部などを激しく攻撃し、同じく親イラン・反イスラエルのイエメンではサウジによる攻撃が激化し、そのサウジはイランの外交官を追放するなどしており、「イラン弱体化・西アジア分断作戦」はそれなりに機能しているようにも見える。
しかし、最終的にイスラエルやアメリカの思い通りになることはないだろう。
すでに、アメリカにイランを抑え込む力はない。この戦争によって、アメリカが西アジアから手を引かざるを得なくなる事態の到来はおそらく早まる。アメリカがいなくなっても、イランと例えばサウジの対立が続く(地域の覇権争いとか)可能性はあるかもしれないが、だからといって、誰がイスラエルを支持するだろうか。
仮にイスラエルが核兵器を用いたとしても(私は次に核兵器を使うのも核家族だという不穏な予測を立てている)、イスラエルの天下になるわけではない。地域(被害予測はAIに聞いて下さい)が荒廃し、イスラエルにはますます居場所がなくなる、というだけではないだろうか。
当人たちはどう思っているのか知らないが、客観的に見ると、現下の事態は、イスラエルとアメリカの双方にとって「最後の賭け」である。
慌てず騒がず、終焉を見守ろう。
ドルの信認は高まっているのか(ドル VS 金)
イラン戦争が始まってから金(などの貴金属)の価格が下がり続けている。私は金の価格はドルの評価と反比例の関係にあると理解し(金の上昇=ドルの信認の低下)、ドルの指標として注視している。では、金の価格が低下している現状は、ドルの評価が上がり「戦争によってドル覇権が強化された」ことを意味するのであろうか。
市場関係者はバカの一つ覚えのように「有事に強いドルが買われて金が売られている」などといっているが、誰がそんなことを信じるものか。
これまでに私が接した一番もっともらしい説明は「湾岸諸国が金を売っている」というもので、石油輸出等が滞って収入が激減している彼らがドル建ての債務の返済に当てるために金を売っているという。
他に「戦時に金の価格が上昇する原因は流動性(要するにおかね(支払手段))不足である」という見解があり、これも「なるほど」と思えた。既存の債務に限らず、戦争に伴って何らかの支払いが急遽必要になった場合、現在の世界ではまだ基軸通貨はドルなので、資産の多くを金で保有している国はそれを売ってドルを買う必要がある。その額が大きくなれば、当然、金の価格は下がり、ドルは上がる。
以上を前提とした場合、戦争を契機とした金価格の劇的な低下は、どちらかといえば、ドルの信認の弱さ(=金の強さ)を示す指標であるように思える。なぜなら、湾岸諸国(日本と同じでアメリカに対して従属的な立場にある国々だ)がすでに資産の多くをドルではなく金で保有していたことを意味するからだ。
いずれにせよ、この間もアメリカの信用は激しく低下を続けているわけで、あと数年も持ち堪えられるとは思われない。
この戦争は、新世界秩序 VS ドル覇権 の代理戦争であり(イランがドルに対する攻撃を仕掛けていることからも明らかだ)、ドルが終われば戦争も終わる。戦争が先に終われば、そのときはたぶん「アメリカが勝てなかった」ときなので、やはりドルの終焉は早まるだろう。
*イランはドルにも攻撃を仕掛けている。私はイランは「ドル以外で取引する石油なら通過を認める」と言ったのだと理解していたが、記事は「中国元での取引なら認める」というものしか見つけられなかった。
エプスタイン問題についての仮説
戦争が始まる直前にはNHKでも報道するようになっていた「エプスタイン氏をめぐる問題」。私が感じる「いよいよ終わりだ」感は、この問題の気色悪さとも大きく関係している。
トランプ大統領がイラン攻撃に踏み切ったのは、エプスタイン問題から目を逸らすためだったともいわれている。これも一つの真実だろう。そうだとすると、この戦争はスポンサーであるアメリカの超大物財界人たちからもそれなりに支持されている可能性がある。エプスタイン文書には、彼らの名前も載っていたらしいから。
エプスタイン文書の内容について何かを読んだ人は、あまりにも気持ちが悪いので何となくなかったことにしているのではないかと思う(私は大体そんな感じだ)。
しかし、なぜ彼らがあんなことをしてしまうのかについて、トッドに学んだ私には仮説があるので述べよう。
欧米文化圏の秘密結社(フリーメイソンの中枢とか)が気色の悪い儀式を行いがちなのは、彼らはそうしなければ規律を守れないからである。
核家族の彼らは、ごく親密な家族や友人のためになら利他的な行動が取れるが、それ以上の規模の集団のために自分を差し出す(我慢するとか)ことができない。集合的心性の中に権威(規律の源泉だ)を持たないからだ。
そこで、彼らは、とても他人に言えないような秘密を共有することで規律(忠誠)を確保する。それは、核家族の彼らが集団に忠誠を尽くすことを可能にするおそらく唯一に近い方法なのだ。
この場合、集団が担う事項が重大で規律の必要性が高ければ高いほど、より秘匿性の高い秘密が必要になる(儀式は一層気色悪くなる)。それが行き着いた先が、エプスタイン島でのあれこれなのだ。
ジェフリー・エプスタインは「スパイだった」というコメントをしばらく前に見て「なるほど、それはすごくありそうなことだな」と思ったが、じゃあ誰が放ったスパイなのかというのはすぐにはピンと来なかった。
でも、多分わかった。イスラエルだ。
エプスタイン・ファイルに名前が載っていたのは(よく知らないが)ヨーロッパの王侯貴族やアメリカの政財界の大物。要するに、古くはポンドが担い、現在はドルが担っている金融覇権を実質的に握っている人たちである(いわゆるディープ・ステイト)。
*トランプさんは元々はその一味ではないが今はよくわからない。
そう、アメリカ(ないしディープ・ステイト)の資金力・軍事力なしに国家として存続し得ないイスラエルは、彼らの支援を未来永劫確実なものとするために、エプスタインを放ったのだ(どうでしょう!)。
この集団が担っていたのは、欧米世界の近代を支えた金融覇権、つまり「世界の略奪による(彼らだけの)永遠の繁栄」を可能にする特殊な権力だ。
エプスタイン島の気色悪さは、核家族の彼らが、狩猟採集民のメンタリティのままで、世界史上類のない巨大な権力を手にしてしまったことの帰結なのである。
気色の悪い儀式に参加してイスラエルに弱みを握られたディープ・ステイトは、「新世界秩序 VS ドル覇権」の最終戦争に引きずり込まれて無用な破壊の限りを尽くし、混迷のうちに近代は終わる。
いま私たちが目撃しているのは、そんな馬鹿げた悲喜劇なのではないだろうか。