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戦時下日記

戦時下日記(5) 岸田政権、イーロン・マスクとタッカー・カールソン

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12月20日(火)政権支持率低下

岸田内閣の支持率低迷。防衛費増額のための増税(あくまで「増税」)「支持しない」が64.9%。支持率は33.1%(共同通信)。

支持率が低迷するのは分かるが、現政権が今の日本が選択可能な政権としては比較的ましだという気持ちは変わらない。

テレビで子育て中の女性が「子育て支援はなかなか決まらなくて、防衛費はあっという間に決まる」と嘆いていて、もっともだが、「あっという間に決まる」のは、選択の余地がないからだろう。

リベラル系の論客の人たちが軍拡について岸田首相を批判しているのを見ると「本当に岸田首相の判断で左右できる問題だと思っているのか? アホなのか?」と言いたい気持ちを抑えられない(言ってる)。

現今の情勢においてアメリカが押し付けてくるものを日本が拒否できるはずがない(ドイツ関連で前回も少し書きました)。

強くて抵抗できないからというより、覇権が崩れかかって、異常に不安定になっているからだ。

いまは静かにアメリカの覇権が崩れ落ちていくのを待つしかないと思う。そのときとはおそらく自民党政権が終わるときだが、それまで自民党にできることはあまりない。「そのとき」に生じる被害をこれ以上大きくしないというのがせいぜいで、そういう仕事で頼りになるのは(日本の場合)政治家というよりは官僚だから、官僚に任せられる人がいい。

こんなとき、目立ちたがり屋のお調子者がトップに立つと何をするかというと、たぶん、日本を売るだろう。何かやったフリをして目立ちたければ、必要以上にアメリカのいうことを聞いて、褒めてもらう以外にないからだ(何人かの顔が思い浮かぶ)。

だから、今は岸田政権でいいと私は思う。

志のある人には、自民党を倒すことなど考えなくていいから、その先を見据えて力を蓄えてほしい。

・・・

とはいえ、私もここまでクールな見方をするようになったのはごく最近だ。ウクライナについて西側の様子がおかしいので焦って勉強し、開戦までの経緯、とくにドンバスの内戦について知ったことが大きい。

古き良きアメリカも、新しくて魅力的なアメリカも今はもうない。アメリカがこの先、国家として成り立っていけるのかも疑わしいと思う。

12月21日(水)イスラエル

数日前からイスラエルがシリアを爆撃していることが報道されている。イスラエルはいつもシリアかパレスチナを爆撃しているのだ。

イスラエルはネオナチ的勢力が非常に強くなっている様子。米英は、中国やロシアのような統制の利いた社会を怖がるけれど、今のウクライナ、イスラエルに出現しているような極端な民族差別主義は平然と受け入れられるみたいで興味深い。

多分、家族システムと関係があると思う。

12月22日(木)プーチン、メドヴェージェフ、ゼレンスキー

ここ2日くらいの間に、プーチンがベラルーシを訪問してルカシェンコに会い、メドヴェージェフは中国を訪問して習近平に会い、ゼレンスキーはワシントンを訪問している。

まもなく非常に激しい攻撃が行われる兆しでは、という見立てをいくつか見る。

違いない。

中国の報道(環球時報とかCGTNとか)を見ていると、中国が関与しているかどうかに関わらず「誰が誰に会った」「誰と誰が会談した」というニュースがとても多い。それが政治というものなのだろう。  

12月23日(金)雪

天気予報に反して広島市内でも大雪。

犬と一緒だと雪の日は最高に楽しい。「雪」(雪やこんこ♪)の歌詞は本当で、ほとんどの犬は大喜びでかけ回っている。犬は決して転ばないけど(四本足は偉大なのだ)、人間はちょっと危ない。

12月26日(月)アメリカの平均余命

アメリカで平均余命が激しく下がっている。何が起きているのか。

 

ちなみに乳児死亡率はほぼ横ばいだった。

12月29日(木)

数日前にヘルソンへの攻撃が強まっているとNHKが報道していたが、とにかく攻撃が強まっているらしい。Kievでも、ほかでも。

12月30日(金)イーロン・マスクとタッカー・カールソン

Twitterファイル(最新のはこれ)は、twitterやその他SNSを通じた米国の情報操作についていろいろ暴露してくれているけど、イーロン・マスクがそれをやらせているという事実をどう考えていいのかよく分からなかった。

あと、FOXニュースのタッカー・カールソンが、私が独立系メディアから集めているような情報をテレビでバンバン報道していて、これもどう理解したらいいのか分からなかった。

今でもよくは分からないのだが、参考になる意見を目にしたので、書き留めておく。

手の込んだプロパガンダだということは間違いなさそう。

米国の右派は数年おきにディープ·ステートと密接なつながりを持つ億万長者の中からディープステートと戦うポピュリストのヒーローの役目を演じる者を世に送り出す。以前それはトランプだった。今はマスクだ。しばらくすれば別の誰かに変わるだろう。しかしそれは誰かが戦っているように見せかけるためのショーに過ぎない。

トランプとマスクはどちらもヒラリー·クリントンが共和党支持者を激昂させたのと全く同じやり方で対立する党派を大騒ぎさせ、激怒させる。実際には、マスク、トランプ、クリントンはみな民主党と共和党の双方が力を合わせて守っている既得権層に仕えているのだ。

すべては、自分たちの苦境に全く関心を示さない支配者に怒りを募らせているアメリカの不満分子に対して、彼らを代表して戦っている者がいると見せかけるための演出にすぎない。拍手喝采するヒーローを与えておけ、そうすれば奴らは自ら立ち上がって戦うことはない。

一方の党派を代表するピカピカの飾り物に怒りを向けさせることによって、そのピカピカの飾り物に対する支持ないし不支持という形で人々の関心を党派対立に繋ぎ止める。こうして全ての人を主流派の世界観の中に閉じ込めるのだ。

彼らは批判を封じ込めるだけでなく、批判の封じ込めに対する批判も封じ込める。それがAOC[Alexandria Ocasio-Cortez:民主党の政治家]/Bernie[Sanders]/TYT[the Young Turks:進歩派のニュースショー]であり、MAGA[Make America Great Again:共和党内のトランプ派]/タッカー・カールソン/マスクの役割だ。彼らは既得権層と戦っているフリをしながら、実際にはそれを守っているのだ。

イーロン・マスクについてはMintPress Newsのこの記事を読むのがよさそう(私はまだ読んでいません)。

「イーロン・マスクはアウトサイダーの反逆者ではない。ペンタゴンの強力な請負人だ」

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行政の立ち位置

 

普通に頭がよさそうで、普通にいい人そうな人が、日本の総理大臣になるのはすごく久しぶりだ。それだけで私はとても嬉しい。

それ以上に政治家に多くを期待する習慣はないが、岸田氏にはほかにもずいぶん期待できるところがある。新自由主義的政策の転換もそうだし「政治主導」とか言わないところもいい。行政官に対して敬意を示し、協力を仰いでやっていく姿勢を示しているのは、日本における自民党の立ち位置をよく理解していることの表れだと思う。本当によかった。

書斎の窓の連載で「第4回 日本の近代ーー国家篇」を書いたとき、原稿段階では「行政の立ち位置」という項目を設けていた。字数の関係で削除せざるを得なかったので、この機会に、貼り付けておきます。

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行政の立ち位置

行政が占めているのは「優秀な次男坊」の地位であると私は見ている。家督は継げないので、試験を受けて活躍する道を選んだ人たちである(システムの説明である)。

政治を弱点とする日本で、その代わりを務めてきたのは行政であり、この人たちのがんばりなしに、現在の日本はない。にもかかわらず、長男(この文脈では政治であろう)は優秀な彼らをやっかみ、親族一同(国民一同である)は「次男のくせに」と軽んじる。一言でいえば、私たちは彼らに甘えてきたのである。

新たに政治を目指そうという人たちには、行政の経験に学び、行政と信頼関係を築くことを第一に考えてほしいと思う。エリート行政官たちは、理想としてのリベラル・デモクラシーと日本の現実との間で悩みながらも社会を動かし続けてきたのであり、そこには、日本人にフィットしたやり方で民主的な意思決定を行うための知恵が受け継がれている。理想化するつもりはないが、新しく作られる政治に役立つ知恵と経験を持つ「先輩」は、日本には彼らしかいないのである。末期自民党政権が行政の自律性を軽んじ、居丈高にバカ殿の尻拭いをさせるような真似をしてきた後であればこそ、清新でしたたかな政治勢力が最大限の敬意をもって臨めば、彼らは応じてくれるのではないだろうか。